今回は、旋盤加工VA・VE.comを運営する㈱オーゼキが、加工精度が求められるスロッター加工を複合旋盤加工機内で行うことで工程集約を行った取り組みについてご紹介いたします。

 

通常、0~0.01mmの精度が求められるキー溝の加工は、精度を確保しつつも加工コストを抑えるという観点から「スロッター」という専用の工作機械が使われることが多くあります(現にスロッターを生業としている工場もあります)。キー溝の形状だけを考えるとマシニングセンタで加工ができるように感じますが、実際のところはドリルやエンドミルなどの切削工具ではどうしても角が出ないことや、主軸の固定・ブレーキが弱い・あるいはできないといったこと、そして何よりもキー溝加工により主軸が痛んでしまう、といったことがあり、スロッターによる加工が採用されるのです。

 

ただし、キー溝を加工するのが数量が少ない場合には、協力会社でスロッター加工を行えば問題ありませんが、数量が多かったりコストが厳しかったりすると、いかに社内で対応できるか?工程集約でコストダウンが図れないか?といった技術開発に取り組む必要が出てきます。

 

そこで、旋盤加工VA・VE.comが取り組んだのは、NC旋盤加工機内でスロッター加工を行い、キー溝を加工してしまおう、というものです。実際に当社でスロッター加工を行ったワークは、下記になります。

 

 

今回、スロッター加工は当社の複合旋盤を用いて行いました。まず、スロッター加工を行うために、ワークに対して主軸を固定した上でスロッター専用工具を取り付け、直線運動を行うように制御しました。このようにスロッター加工を行うと、ワークも主軸も固定したまま加工されるので、位置決め精度を高めることができる上、別工程になった場合の治具作成の手間や工程などが増えることを回避することができ、コストダウンと高精度加工を両立することが可能となります。なお、実は今回スロッター専門会社に依頼しようとしていたのですが、位置決めができないという回答だったので、旋盤加工機内でスロッター加工を行うことで位置決め精度が向上することもお分かり頂けると思います。

 

なお、NC旋盤加工機内でスロッター加工を行うことは、市販品の旋盤用スロッター専用工具が流通していることからもお分かりのように、一般のメーカーでも「ある程度」対応することができます。しかし実際のところは、旋盤用スロッター専用工具はあまり販売されておらずラインナップが限られており、対応が限定的になってしまいます。旋盤加工VA・VE.comを運営する㈱オーゼキでは、工具研削盤を保有して、必要に応じて専用工具を自作できるので、お客様のワークに応じて柔軟に対応することが可能です。当社では旋盤加工に関する技術開発に日々取り組むことで、高精度加工・複雑加工はもちろんのこと、工程集約によるコストダウンにも積極的に取り組んでおりますので、旋盤加工でお困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。

旋盤加工のご依頼はこちら
旋盤加工のご依頼はこちら